角膜感染症とは
2014.10.26
この週末、東京で行われた勉強会に行ってまいりました。そこで話題に選ばれたものの中から角膜感染症についてお話します。
角膜感染症とは、角膜(黒目の表面です)に細菌、真菌、ウィルスなどが感染して発症する感染症です。どの年齢でも起こり得ますが、年齢別の発症件数をみると20代と60代にピークがあります。なぜかというと、20代ではコンタクトレンズに関連した感染が多く、60代では加齢や糖尿病などによる免疫力の低下などが原因になることが多いからです。
原因は20代では緑膿菌やアカントアメーバなど、水道水に含まれる(洗面所周辺に生息)可能性がある菌や、コンタクトレンズケースの中で増える可能性のある菌が多くみられます。これに対して60代ではもともと皮膚や瞼の皮脂腺(マイボーム腺)に常在するグラム陽性球菌が多くみられます。
これらの原因菌が正常な角膜について(感染して)も、必ずしも症状はでません。ところが、コンタクトレンズ装用により角膜上皮に障害があると菌が角膜内に侵入し病気を発症しやすくなります。また、高齢者では加齢や病気により免疫力が低下したり、マイボーム腺の閉塞により菌の量が多くなったりして病気になりやすくなります。
対策は、目にあったコンタクトレンズを正しく使用する。殺菌力の高い洗浄剤を使用する。保存液の継ぎ足しをしない。こすり洗いを省略しない。レンズケースは毎日洗浄して乾燥させ、短期間(3か月程度)で交換する。コンタクトレンズを扱う前に石鹸と流水で手を洗う。ことが大切です。また、リッドハイジーンと言って、瞼の細菌の量を減らしマイボーム腺の皮脂のつまりを解消するために、しっかりと洗うことも大切です。マイボーム腺につまりがある方では、使い捨てのホットアイマスクなどで目を温めることも効果的です。
充血、痛み、かすみなどの症状がでた場合、コンタクトレズの装用者はすぐに装用を中止し、眼科を受診することをお勧めします。角膜の感染症は、重症の場合は緊急で入院加療を要することもあり、また治療の甲斐なく重篤な視力障害、場合によっては失明することもありますので、自己判断で悪化させないよう気を付けましょう。