常陽リビング掲載記事 第7回~黄斑上膜~
2011.02.05
2011.2.5 常陽リビング 「リビングクリニックQ and A」に掲載されました。今回の話題は黄斑上膜です。網膜上膜、網膜前膜などとも呼ばれます。比較的よくみられる疾患ですが、正しく診断されずに将来失明するのではないかなどと心配している方が少なくありません。外来での診察で診断がつきますので、ご心配のかたはぜひ受診されてください。
以下、掲載記事です。
Q:50歳男性です。なんとなく最近視力が落ちたなあと思っていましたが、片目ずつ試してみると右目で見たときだけ電柱が歪んで見えます。大変な病気でしょうか?
A:電柱、電線や障子、パソコンの画面などが歪んで見えるという症状は、網膜の中心部分である黄斑というところに異常があるとよくみられる症状です。黄斑は病気の起こりやすい場所で、直接視力にかかわりますので、異常を感じたら眼底検査をお受けになることをお勧めします。眼底検査は瞳孔を広げる目薬をさして、広がった瞳孔を通して目の奥、眼底を観察する診察です。検査はまぶしいですが痛みなどはありません。検査後数時間は物がぼやけて見えますので、車の運転はできないと考えてください。
視力低下が軽度で、歪みが生じる疾患の代表は黄斑上膜です。黄斑部に薄い膜がはり、次第にそれが厚くなり皺をつくっていくので、歪みや視力低下を生じます。発症に男女差はなく、若い方にもおこります。以前に眼内の炎症があった方や、手術、レーザー治療を受けた方におこることが多いですが、健康な目にもおこります。症状が進行したら膜をはがす手術をすると、視機能が改善します。あまり進行してしまうと治りが悪くなりますので、手術の時期が大切です。
同じ症状で、視力低下が比較的早く進行し、治療が遅れると視力が回復しない疾患もありますので、まずは眼科での検査、診断が重要です