常陽リビング掲載記事 第3回~糖尿病網膜症~
2010.12.04
2010.12.4 常陽リビング 「リビングクリニック Q and A」 に掲載されました。
今回の話題は「糖尿病網膜症」です。以下は記事の原文です。糖尿病の患者さんはとても多く、眼を含めて「自覚症状」が初期にはでません。記事を参考に、お早目の受診をお勧めいたします。
Q:健康診断で糖尿病があるといわれました。内科と眼科を受診するように言われたのですが、目も関係があるのですか?
A: 糖尿病の3大合併症は、目、腎臓、神経に起こります。
目の合併症のひとつである糖尿病網膜症は、日本では後天的に失明する原因の第2位です。糖尿病にかかると、血液中に糖がたくさんある状態が続き、目にあるような細い血管が最初に影響を受けます。血管が障害をうけることにより、十分に網膜に酸素が届かなくなり網膜症が発症します。
糖尿病は自覚症状がなく、健診などで発見されるまでに発症から何年もかかることがあります。血糖が高い期間が長いほど合併症の確率は高く、10年を超えると約半数の方に網膜症があると言われています。しかし、かなり進行するまで視力低下などの自覚症状はありません。したがって糖尿病の疑いがあるとわかったら、必ず目の検査を受けることが大切です。
網膜症の初期の治療は血糖のコントロールです。網膜症が進行すると網膜光凝固術や硝子体手術が必要になります。進行期の病状を調べるには蛍光眼底造影検査による精密検査が必要になります。糖尿病により白内障や、緑内障が発症することもあります。いずれも視力にかかわる深刻な合併症ですので、早期発見、早期治療が大切です。糖尿病が疑われたら症状がなくても定期的に眼科で経過観察を受けることが、将来の失明を防ぐためにもっとも大切です。