花粉症のあれこれ
2013.03.10
花粉症のシーズンもピークを迎えました。今年は、スギ花粉の量が多い上に、突然の気温上昇と強い風で、急激に症状の発症、または悪化をした方が多いようです。
一般に「花粉症」というと、日本では春のスギ花粉によるアレルギー症状を言います。つまり、スギが原因です。ちなみに他の季節、または他の地域、国では、それぞれいろいろな植物の花粉に対するアレルギーがあり、それらも「花粉症」です。よく聞くところでは、スギに続いて発症するヒノキ、夏から秋にかけてのイネ科の植物、雑草など。北の地域ではシラカバのアレルギーも多いようですね。北米に出かけたときの天気予報では、カエデの花粉予想をやっていました。
ということは、花粉症を原因から絶つには、それらの花粉を身の回りからなくすことです。花粉のない地方へ転地すれば100%治ります。なかなかそうはいかないので、眼鏡、マスク、静電気の起こりにくい服、などが予防になります。家の中に花粉を呼び込まないように窓を開けない、洗濯物や布団は外に干さない、体についた花粉を払ってから家に入るなど、できる工夫はたくさんあります。帰宅後に手や顔を洗う(できればシャワーを浴びる)などもいいですね。
薬はどうでしょうか?点眼薬、点鼻薬、内服薬などはいずれも目、鼻、全身でのアレルギー反応を抑制し、症状を抑えてくれます。アレルギーを抑えるメカニズムには薬によって違いがあり、効果の強さ、副作用にも差があります。年齢や体の状態にあった薬を使用しましょう。ただし、あくまでも花粉に対する体の反応を抑制する薬ですので、花粉を避けて、体力を維持することが大切です。それらなしでシーズン中、完全に症状が起こらないようにする薬はないと考えましょう。
花粉(アレルギーの原因:アレルゲン)に対するアレルギー反応を起こらなくする治療として、「減感作療法」というものがあります。これはアレルゲンを計画的に投与(注射)して、少しずつ慣らしていくというものです。長い期間(2年程度)がかかることと、アナフィラキシーショックという強いアレルギー症状を起こす危険があるため、専門医での治療が必要です。
また、最近ではワクチンの開発も行われているようです。年々花粉症の患者さんの数は増えています。また低年齢化も顕著です。花粉症の元を絶つような治療法が安全に受けられる時代が来るとよいですね。