近視進行抑制についてのお話し
2021.03.16
近年、子供の近視になる年齢が低くなり、そして進行は速くなり、低年齢で眼鏡を必要とするお子さんが増えています。この傾向は世界でも特にアジアで強くみられます。そこでアジア各国では国をあげての近視進行抑制対策をおこなっているところが多く、どうすれば効果があるかという研究も盛んにおこなわれるようになっています。日本はまだ具体的な国の政策がありませんが、2021年4月から、政府主導で学童近視の実態調査がはじまります。また、眼鏡、コンタクト、点眼薬の臨床試験も行っています。
現時点で、近視進行抑制に効果があるとわかっているものは、下記のとおりです。
- 近業を避ける:目から30センチ以内の近いところを20分みたら、20フィート(約6メートル)遠方を20秒間見るようにすること。そして1日の近業作業を2時間以内にすること。(20-20-20-2です)
- 1日に2時間以上、明るさ1000ルクス程度の光を浴びること(具体的には木陰や建物のかげでよいので屋外で過ごすこと。通学や学校の休み時間を含みます。)
- 近視のお子さんは目にあった眼鏡(弱めではなく、きちんとみえるもの)を常時装用すること。
- 点眼治療:日本では承認された薬がないので、輸入した点眼薬を医師指導のもとで、自費診療として使用。
- コンタクトレンズが必要な場合は近視進行抑制効果のあるコンタクトレンズを選択すること:日本ではまだ承認されたレンズがないので、それに近い効果があるとされるコンタクトレンズを使用します。
- 近視進行抑制効果がある新しい特殊な眼鏡を装用すること(日本ではまだ手に入りません)。
- オルソケラトロジー:夜間に特殊なコンタクトレンズを装用することで、日中は眼鏡なしで良好な視力が得られるものです。近視の矯正方法として元々ある方法で、主に大人の方に行っていました。この方法が、お子さんの近視進行抑制に効果があるということがわかってきました。ただし、夜間にコンタクトレンズをつけるということで、眼表面の合併症がおこることがありますので、医師の指導のもとで定期検査を行いながら装用することが大切です。レンズ代、検査代すべてが自費診療となり、通常のコンタクトレンズと比較すると高額になります。検査を受けられる施設が限られます。
1~3は本人の努力と保護者の協力でできることですので、ぜひ実行しましょう。
4,5は当クリニックで対応可能です。
6の眼鏡は国内では入手できませんが、国内で入手できる別のタイプの眼鏡(近視抑制効果が少しあるようです)の処方をしています。ご希望の方はお知らせください。
7は当クリニックでは行っていない治療です。